
決算期を控え、今期の決算書類の作成に忙しい方も多いのではないでしょうか。決算処理では、事業で得た売上から事業にかかった経費を差し引いて所得額を算出し、決算日時における資産や負債、純資産の額を確定しなければなりません。
事業のために必要な長3封筒印刷を行った場合、封筒印刷にかかった費用も経費として計上することができます。しかし、はじめて決算を行う場合や決算業務に慣れていない方の場合、長3封筒の印刷費用をどのような勘定科目で計上すべきか悩むこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、長3封筒の印刷費用を経費計上する場合の仕訳方法についてご説明します。
決算における長3封筒印刷費用の内訳
長3封筒の印刷を自社で行った場合と印刷会社に依頼した場合では、必要になる費用の内訳も変わってきます。
まず、自社内で長3封筒の印刷を行った場合に必要とsなった費用の内訳は次のようになるでしょう。
・封筒の購入代
・トナーカートリッジ代
自社で封筒印刷を行った場合、封筒の購入とトナーカートリッジ代は分けて計上する必要があります。
また、印刷会社に長3封筒の印刷を依頼した場合に発生した費用の内訳は次のような形になるケースが多いでしょう。
・デザイン料
・ロゴの製作料
・封筒代
・校正代
・印刷代
・梱包、発送代
ただし、封筒印刷にかかった費用を計上する際には、これらを分けて計上する必要はありません。
長3封筒印刷費用の勘定科目

決算処理において仕訳の方法や計上した金額に誤りが発覚した場合、修正が必要です。決算内容の誤りに気付くタイミングによって、修正の処理方法は変わります。株式会社の場合は、株主総会で決算内容が承認される前であれば、通常の決算作業として内容を修正することが可能です。しかし、株主総会の承認後にミスに気が付いた場合は、決算修正を行わなければなりません。決算修正とは、過去の決算内容の誤りを当期分で修正することです。決算修正ができる期限は原則として5年間となります。経費の計上方法を間違えた場合も、計上のタイミングによって決算修正が必要になる場合もあるため、経費計上は正しく行わなければなりません。
ここでは、長3封筒の印刷をした場合の印刷費用の仕訳方法についてご説明します。
消耗品費として計上する場合
勘定科目とは、企業や個人が取引をした記録を分かりやすく分類するために使用する簿記の科目です。勘定科目は外部に報告する財務会計に用いられる表示科目とは異なり、社内での報告や分析のために使用されます。したがって、勘定科目の科目は固定されているわけではなく、自社で分かりやすく分類できるよう自由に設定することが可能です。
自社で長3封筒を印刷した場合、封筒の購入費用や封筒印刷、宛名印刷のためにかかったトナーカートリッジの購入費用などは「消耗品費」の勘定科目で計上できます。そのほか、消耗品費として計上できる費用には次のようなものがあります。
・事業を営むうえで日常的に使用する事務用品や用紙などの購入費
・マウス、USBメモリスティック、SDカード、ソフトウェアなどのパソコン周辺機器の購入費
・ティッシュペーパーやトイレットペーパー、タオル、清掃用品などの購入費
・電池や電球などの購入費
・名刺印刷の費用
・使用できる期間が1年未満の什器や備品の購入費
・取得価額が10万円未満の什器や備品の購入費 など
事務用品費として計上する場合
「事務用品費」は、事務に必要な消耗品の管理に使用する勘定科目です。具体的には次のようなものが事務用品費に該当します。
・ペンやノート、ファイル、のり、テープ、カッターナイフなどの購入費
・コピー用紙の購入費
・封筒の購入費
・名刺印刷の費用
・キーボードやマウス、USBメモリスティック、LANケーブルなどのパソコン周辺機器の購入費
・トナーカートリッジの購入費
したがって、自社で封筒印刷を行った場合の封筒の購入費や差出人の印刷や宛名印刷にかかったトナーカートリッジの費用などは、事務用品費として計上することも可能です。
封筒やトナーカートリッジの購入費は、消耗品費としても事務用品費としても計上しても問題はありません。しかし、消耗品費には事務用品以外の経費も計上できるため、消耗品費と事務用品費を区別しない場合、決算時などに帳簿を見直す際、確認に時間がかかる恐れがあります。そのため、消耗品費として計上する費用が多い場合などは、封筒の購入代やトナーカートリッジ代など、封筒印刷にかかった費用は事務用品費として計上しておいた方がよいかもしれません。
印刷製本費として計上する場合
「印刷製本費」とは、事業のために必要な印刷物を印刷会社に依頼した際に発生した費用の計上に利用する勘定科目です。したがって、長3封筒印刷を印刷会社に依頼した場合に支払った費用は、印刷製本費として計上することになります。
印刷製本費として計上できる費用には次のようなものがあります。
・封筒印刷の費用
・名刺印刷の費用
・会社パンフレットの印刷費用
・商品やサービスを紹介するリーフレットの印刷費用
・挨拶状の印刷費用 など
決算における長3封筒印刷費用の仕訳方法と具体例
前の章でご説明したように、長3封筒印刷にかかった費用は消耗品費、事務用品費、印刷製本費のいずれかの勘定科目で経費計上をします。では、帳簿に記入するときにはどのように記入すればよいのでしょうか。勘定科目ごとに長3封筒印刷費用の具体的な仕訳の例をご紹介します。
消耗品費での仕訳例
長3封筒を購入し、社内で印刷した場合、長3封筒の購入費用として1万円を現金で支払った場合は次のように処理します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 | 封筒購入 |
また、長3封筒印刷のためにA社からトナーカートリッジを購入し、15,000円分の請求書を受領し、数日後に口座振込で入金した場合は次のように記入します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 15,000円 | 未払金 | 15,000円 | A社トナーカートリッジ代 |
未払金 | 15,000円 | 普通預金 | 15,000円 | A社トナーカートリッジ代未払金入金 |
長3封筒をまとめて購入した場合などは、決算時までに購入した長3封筒を使い切っていないケースもあるでしょう。その場合、未使用分については「貯蔵品」または「消耗品」の勘定科目を使用します。貯蔵品は、未使用の資産を計上する際の勘定科目です。
例えば、1,000枚で4,000円の長3封筒5,000枚を現金20,000円で購入し、決算月に2,000枚の未使用分が生じたとします。この場合は次のような処理をします。
購入時点の仕訳
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 20,000円 | 現金 | 20,000円 | 長3封筒代 |
決算整理仕訳
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
貯蔵品 | 8,000円 | 消耗品費 | 8,000円 | 長3封筒代 |
事務用品費での仕訳例
事務用品として長3封筒印刷費の仕訳をするときは、勘定科目を事務用品費として記入します。記入方法は消耗品費として仕訳をする場合と同様で、長3封筒の購入費用として1万円を現金で支払った場合は次のように処理します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
事務用品費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 | 封筒購入 |
銀行振込で支払った場合、決算月に未使用分が残った場合の仕訳も勘定科目を「事務用品費」に変えるだけで、記入方法は消耗品費として扱う場合と変わりません。
印刷製本費での仕訳例
長3封筒印刷を印刷業者に依頼した場合には、印刷製本費の勘定科目で処理します。
5,000部の長3封筒印刷を依頼し、40,000円の代金を現金で支払った場合は次のように記載します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
印刷製本費 | 40,000円 | 現金 | 40,000円 | 封筒印刷 |
銀行振込で支払った場合、決算月に未使用分が残った場合の仕訳も勘定科目を「印刷製本費」に変えるだけで、記入方法は消耗品費や事務用品費として扱う場合と変わりません。
長3封筒印刷費用の管理とコスト削減のポイント
長3封筒印刷にかかるコストを削減したい場合、注意が必要なポイントがあります。
印刷会社の選び方と見積もりの取り方
印刷会社に長3封筒印刷を依頼する場合、印刷会社によって料金や納期は異なります。よりコストを抑えて封筒印刷を実現したいのであれば、インターネットから注文できる印刷会社への依頼がおすすめです。インターネットの場合、人件費等の削減ができるため、リーズナブルな価格で印刷できる可能性が高くなります。
また、コストを抑えたい場合は、少部数をこまめに発注するのではなく、ある程度まとまった部数を発注するとよいでしょう。
デザインやサイズによる費用の変動と最適化
長3封筒印刷を依頼する際、デザインの作成まで依頼するとコストは高くなります。また、印刷サイズが大きくなればその分コストもかかるでしょう。印刷会社によっては、簡単に封筒デザインを作成できるテンプレートを用意しているケースがあります。コストを抑えたい場合には、テンプレートを活用し、自社で封筒デザインを作成することをおすすめします。
長3封筒印刷費用に関連するよくある質問と回答
封筒印刷の仕訳に関するよくある質問をご紹介します。
封筒印刷費用は通信費として計上できる?
年賀状や暑中お見舞い、挨拶状などの印刷費用は通信費として計上することも可能です。しかし、宛先が特定されていない封筒印刷の場合は、通信費としてではなく、消耗品費や事務用品費、または印刷製本費として処理するケースが一般的です。
コンビニでのプリント代はどの勘定科目になる?
コンビニのコピー機で行ったプリントの代金は、消耗品費として計上するケースが多くなります。また、雑費として仕訳をしても問題はありません。
名刺印刷代の勘定科目は封筒印刷費用と同じ?
名刺印刷代金の仕訳に使われる勘定科目は、消耗品費、事務用品費、印刷製本費などで、封筒印刷費用と同じ勘定科目を使用して問題ありません。また、名刺印刷代を広告宣伝費として計上するケースもあります。
まとめ:決算期における長3封筒印刷費用を正しく計上しよう!
長3封筒印刷の費用をどのように計上するかは、社内で印刷を行ったのか、外部の印刷会社に依頼したのかによって変わってきます。自社内で長3封筒を購入し、印刷を行った場合、封筒の購入費用や印刷にかかったトナーカートリッジ代などは、消耗品費または事務用品費の勘定科目を使って記帳します。また、印刷会社に印刷を依頼した場合には、印刷製本費として扱うケースが一般的です。
決算期には、帳簿上の数字と実際の数字を合わせる決算整理仕訳も必要です。長3封筒印刷をまとめて行い、未使用分が残っている場合などは貯蔵品として計上し、正しく決算処理を行うようにしましょう。
個人事業主の方でも法人の方でも、会計処理というのは手間の掛かるものだと思います。
その会計業務を1年間行った集大成とも言えるのが決算ではないでしょうか。
経費に関しては計上するにも様々な勘定科目があり、どの科目で計上したらいいのか迷う時もあると思います。
実際問題として何をどの勘定科目で仕訳けるかは、大筋の定義はあるものの、用途や条件によって選択すべき勘定科目が変わることもあるので、確実にこの勘定科目にしないといけないという正解はありません。
要するに正確に会計が行われ、説明が出来るしっかりとした帳簿付けが出来ていれば問題ないということです。
そう言葉で表せば簡単ですが、私も会計業務をしている手前、実務としていざやってみると難しいのも感じています。
近年は会計ソフトのサポートサービスや相談チャットなど、従来の会計相談サービスに加えて気軽に利用できる相談窓口も充実していますので、そういった窓口を利用しながら行うと安心です。
また往々にして印刷物は大量印刷をした方が費用的には確実に特です。
ただ在庫が余れば資産となるので、資産計上の手間や決算のことを考慮して注文数をコントロールするのもありかと思います。
■監修者プロフィール
株式会社ウイングフォーム 代表取締役 伊藤友也
広告代理店勤務を経て、地元である埼玉県さいたま市地域の広告物に特化して取り組める環境をと思い、株式会社ウイングフォームを起業。主に企業や飲食店のチラシや封筒、ポスターなどのDTP印刷、ホームページ制作および広告代理業などを行い、地元地域のみならず各地域クライアントが「根差すPR」を目指して展開。会社やお店だけでなく個人の依頼も取り扱い、数量の少ない印刷物や小回りの利くちょっとした制作物を低価格で制作できるよう努めている。